第67話 あるCFMパーソナリティの経験則

□ 「はてなブログ」に一ヵ月ほどログインできず、書き換えができませんでした。読者の方々にお詫びを申し上げます。
□ さて、先日、レディオ湘南(藤沢エフエム放送)で14年パーソナリティを続けておられる方にお会いしました。財津紀元さんです。彼は長寿人気番組「ざいつきげんの音楽鍋」(60分番組)をご自分で出演、制作を手がけています。この十数年、彼が経験した「コミュニティFM放送」というものについて、雑誌「湘南物語」とあるレコード会社のパンフレットに書かれた内容が、パーソナリティにとって非常に参考となるのでご紹介したいと思います。財津さんは時々私のブログ〔はてなCFM〕に書き込みして下っている方です。


■ ラジオ番組「ざいつきげんの音楽鍋」

 財津さんの紹介からはじめましょう。財津さんは神奈川県藤沢市のCFM局「レディオ湘南」で、1時間のレギュラー番組を放送している人です。番組名〔ざいつきげんの音楽鍋〕(最初は「ざいつきげんの突っ張りファミリー」としてスタート)、すでに14年目を迎えています。本職は広告の企画制作・マーケティング戦略・イベントプロデュース。もともと音楽とラジオが好きで、できれば放送局の仕事を希望していましたが叶わず、それでは自分でやってしまおうと、自宅をスタジオにミニFM局を開設、ご近所の方々を対象に番組「つっぱりファミリー局」を開始、家族での手作り放送でした。1983年ごろといいます。10年間以上続けて、1996年には地元藤沢市に「レディオ湘南」が誕生、ではもう少し多くにリスナーに聴いてもらおうということで、上記の番組を始めるわけです。それから14年、合わせて25年間、ご自分の番組を放送し続けているわけです(注1)。大したものですね。これだけこだわりを持って番組づくりを続ける人は、世の中にそう多くはありません。単に自分の好きな番組をつくり、放送するだけなら誰でも続けられるでしょう。財津さんの偉いところは、番組を続けつつ、CFMのパーソナリティとはどんな特色を持っているのか、追求している姿勢です。


■ CFM局の番組とリスナーの関係性

 パーソナリティの特色というテーマは、私も当ブログ〔第18話〕から5回に渡って掲載しましたが、私と共通した考えを持っておられることにびっくりしました。やはり、実践経験を元に分析された人の貴重な理解と受け止めました。今回は財津さんの「CFM局のパーソナリティ」についてご紹介をしたいと思います。レコード会社:東芝EMIが発行した「Community FM Radio Wave~handbook」に掲載されている内容から一部ピックアップします。財津さんは地域密着型番組づくり16のポイントというタイトルの前書きにこう記しています。

コミュニティFMラジオ局の『いい番組』を定義すると、県域FM局やキー局のスマートなプロの味よりも、お隣のお嬢さんが3軒先のおじさんと立ち話・・・。近所のクラスメートや学校の先輩と近況報告というような地域内のハートフルなコミュニケーションを楽しむという感覚が大切です。放送の送り手と受け手相互の顔が見える、電波の共有こそがコミュニティFMラジオの原点です。」正しくその通りですね。CFM局が開局すると、経営者はラジオのことが分らない、スタッフは若い人ばかり・・・そこで起きる現象は「J-WAVE」を代表とするかっこいい都会のFMラジオのDJ番組の編成です。そこに送り手と受け手の齟齬が起こります。2年〜3年続ける内に聴いてくれるリスナーが、放送地域の極一部の人たちになってしまいます。財津さんのいう、ご近所の立ち話、近況報告の感覚とはかけ離れた番組が放送されることになります。こうならないための財津式番組づくりを7項目挙げることにします。以下上述パンフレットより引用します(注2)。

 (1) 県域FM局との違いを知ること
 (2) 県域FM局の番組内容やプロのDJなどのマネをしないこと
 (3) つくらず、飾らず、気取らないこと
 (4) 番組づくりのべ方法を学ぶこと
 (5) 言葉遣い、イントネーションは正しい日本語であること
 (6) 番組は企画、構成をしっかりと
 (7) リスナーはお客さまという気持ちで

 CFM局のパーソナリティを経験された方は、頷くことが大いに違いありません。??は規模の違いによる放送内容の違いを知ることで、上述したかっこいい番組づくりを形だけ真似してはいけません、というでしょう。??の番組つくりはNHKラジオの番組を聴いて学びなさいとは、全くその通り。?これも大切です。CFM局の番組を聴いていると、パーソナリティがしゃべることに夢中になり、リスナーに対してどのように聴いてもらおうか、という視点が抜けています。番組は企画があり、それをどのように伝えるか、番組全体の構成があり、その上で魅力あるしゃべり方が求められます。1人で番組をつくる人はこの視点を忘れてはいけませんね。最後の?はごもっともです。リスナーというお客様があっての放送番組です。自分の番組リスナーを大切にするには言葉遣いに気をつけ、話す内容がハートに届くように気配りをする、これは接客業と変わらない配慮です。見えないからこそ大切なのです。財津紀元さんの「番組づくり16ポイントは続きます・・・それはまた次回に!(了)

なお、財津紀元さんのブログ「はてな音楽鍋Rエッセイ」は下記のアドレスです。ご覧ください。

         http://d.hatena.ne.jp/djkigen/20090523/1243081725


注1=雑誌「湘南物語」(発行:未来社) 2月号 ◆湘南贅沢人「大切なのは音楽と遊び心」◆より
注2=パンフレット「ON AIR〜音楽知識と番組づくりに役立つ」特集より